人生は山あり谷あり、とよく言いますが、実際に自分がつらいことに直面した時にはそんな言葉だけで片づけられてしまうのはなんだか許しがたいものです。その言葉だけでは何の解決のヒントにもなりません。そんな時は心が少しでも軽くなる術を求めて、あたたかくなる場所や言葉を求めて、読書などいかがでしょうか。
今回は人生がつらいと感じたときにあなたの心をあたたかく包み込み、ふわりと軽くしてくれるおすすめの本を7冊、ご紹介いたします。
人生がつらいと感じた時に
ふっと心が軽くなる7つの本
家族旅行あっちこっち/銀色夏生(幻冬舎文庫)
詩人・エッセイストとして活動する銀色夏生さんの家族旅行フォトエッセイです。ケアンズ、宮崎、韓国、金沢を家族で旅行した風景を文章、写真、イラストで綴っています。
「小さなところにこそおもしろいが潜んでいる」という言葉の通り、一見何てことない旅行の1コマを、深い視点から切り取る素朴でぬくもりのある言葉と景色、家族の自然な笑顔に心がほっとあたたかくなります。時おりあらわれるゆるーいイラストにも思わず顔をほころばせてしまいます。
テーブルの上の幸せ/大橋歩(集英社文庫)
イラストレーターやエッセイストとして活動する大橋歩さんの、食にまつわるエッセイです。
イラスト、写真、文章で大好きなキッチンやキッチン用具、食事、誰かとかこむ食卓についてなどなどが記されており、大橋さんの綴る「大好き」に触れ、毎日とる「食事」という視点から日々の暮らしに「楽しい」や「たいせつ」を見つけるヒントが散りばめられています。
阪急電車/有川浩(幻冬舎文庫)
映画化もされた有川浩さんの小説です。ちいさなローカル線のなかで、乗っては降りてすれ違いゆく人々の抱えた、さまざまな人生が少しずつ重なりあう瞬間が描かれていて、苦しいや寂しい、切ないを抱えているのは自分だけではないのだと感じることができます。
周りを見つめる目が少しだけ変わりそうな1冊です。
生協の白石さん/白石正則・東京農工大学の学生の皆さん(講談社)
東京農工大学の学生生協で働く白石さん。生協に寄せられる様々な意見、要望、はたまたお悩み相談や内容のないことまで書かれた、通称「ひとことカード」に対しての、真面目でユーモアのある白石さんの回答を集めた本です。
どんな「ひとこと」に対しても真摯に答えていく白石さんの健気さと真面目さ、回答のユニークさに思わず顔がほころんで、暖かい気持ちになれること間違いなしです。
ありがとう、さようなら/瀬尾まいこ(MF文庫)
国語教師のかたわら作家として活動する瀬尾まいこさんの、小説のようなエッセイです。給食に出てくる苦手なものを子どもたちと一緒に克服しようとがんばったり、子どもたちのふとした言葉に涙しそうになったり、思春期の少年たちに苦笑いしたりします。
世界の広さから観たら小さな範囲の学校というひとつの社会のなかで、それぞれが必死に生き、笑い、涙し、成長しようともがいている姿と、作者の瀬尾さん自身もさらに成長しようとひとつの人の物語に触れるたびに心をたしかめています。
子どもたちと瀬尾さん、それぞれの生きる姿と心にふれてあたたかい気持ちになり、きっと勇気をもらえるでしょう。
イノなき/井ノ原快彦(M.Co./角川書店)
イノッチのなきにしもあらず。略してイノなき。ジャニーズの人気アイドルグループ・V6の井ノ原快彦さんが、毎日何気ないことを綴り続けた日記が1000、39万5226文字たまって本になったものです。
笑ったり、笑ったり、一生懸命考えたり、感動したり、やっぱり笑ったりしながら毎日を生きている彼の底抜けの明るさをお裾分けしてもらえます。
お茶が運ばれてくるまでに/時雨沢恵一(メディアワークス文庫)
ライトノベル「キノの旅」シリーズでおなじみの小説家・時雨沢恵一さんの掌編集です。一見絵本のようだけれど、読み込めばその言葉の一つひとつに心を刺されたり、痛んだり、揺らいだり、動かされたりして涙がこぼれそうになったり、元気になったり、笑顔になったりできるでしょう。
人生について、自分について、大好きな人について、一生懸命考えることのできる本です。
いかがでしたでしょうか。
人生は山あり谷あり、と単純に言葉で言われるのは簡単なように聴こえるかもしれませんが、エピソードをひとつひとつやわらかく語られる本はきっとあなたの心をあたたかく包み込んで支え、励まし、勇気づけてくれます。
苦しいやしんどいを乗り越えてきた果てに書かれた言葉は、あなたの「苦しい」や「しんどい」を乗り越えるヒントを与えてくれるものかもしれません。現実からすこし休憩する時間も必要です。そんな時はぜひ読書、いかがでしょうか。
まとめ
人生がつらいと感じた時にふっと心が軽くなる7つの本
・家族旅行あっちこっち/銀色夏生
・テーブルの上の幸せ/大橋歩
・阪急電車/有川浩
・生協の白石さん/白石正則・東京農工大学の学生の皆さん
・ありがとう、さようなら/瀬尾まいこ
・イノなき/井ノ原快彦
・お茶が運ばれてくるまでに/時雨沢恵一